複利という言葉の説明
複利という言葉を聞いたことはあるかな?ちょうどいい説明があったので、ここに引用してみる。
たとえば、元金(もともとのお金)が100万円あり、この100万円を金利2%(年利)で1年間預金したとすると、1年後には102万円になる。この場合、2万円は、元金に対してついた利子である。この2万円も含めて(つまり102万円を)再び金利2%で1年間預けると、1年後には104万円となるのではなく、104万400円となる。この400円は、利子である2万円についた利子である。このように、利子にもまた利子がつくことを、「複利」という。
金融広報中央委員会 より引用
実際はどうなのか?
上の文を読んでも、多分あまりピンと来ないかもしれない。104万円と104万400円なら、そんなに差がないのではないのかと。私も最初そう思った。たしかに差はあるが、誤差に近いものではないかと。
しかし複利は回を重ねるごとに力を増す。下の表を見て欲しい。これは、100万円を仮に5%で運用した場合、単利と複利で比較したものだ。最初の数年は、わずかな違いかもしれないが、回数を重ねるごとに差が開き、50年後には、トータルリターンが複利のほうが3倍以上多い。50年後の最終金額は、単利は350万円に対して、複利の場合は1150万円近くになっている。実に800万円近い差になるわけだ。これはもう誤差ではなく、決定的な差と言っても良いだろう。

実生活の複利はお金
私は、複利のことを単純に教養として君に伝えたい訳では無い。実践的な内容として捉えて欲しい。実生活で複利が絡むものはお金だ。複利は味方にすれば、非常に強力な武器になるし、敵に回ると果てしなく厄介な強敵になる。味方になるとは投資をすること、敵に回すとは借金をすることだ。
複利が味方になると
複利を味方につけるとは、投資で複利を使うことだ。先ほどの例のように、100万円を5%の年利で運用すると、50年後には10倍以上になってしまう。これは非常に強力だ。しかも投資の世界では、年利5%というのは割と現実的な値だ。優良なインデックスファンドで投資をすれば、特に頭を使わず、放っておくだけで再現性高く実現できてしまう。
複利を敵にまわすと
複利を敵にまわすとは、借金をすることだ。借金をしても利子がつくが、返せないと利子に利子がついて、とんでもないことになってしまう。最終的には借りた金額の何倍ものお金に、借金が膨れ上がってしまうこともあるくらいだ。これはかなり厄介だ。絶対に避けたい事態だ。
借金というと、君には無縁のように思うかもしれない。しかし車のローンや、住宅ローンなども借金だ。これらを君が、もし利用することがあるならば、十分注意しなければならない。お金が返せなくなると、とんでもないことになるし、計画どおりに借金を返済できたとしても、最終的にはトータルの利子だけでかなりの額を払うことになるからだ。特に住宅ローンには要注意だ。
ちなみに我が家が持ち家ではなく、ずっと借家なのは、私が借金をして利子を払うのが嫌なのも理由の一つだ。
祖母の不思議な問い
ここで私が初めて複利の教育を受けた時のことを、子孫である君に伝えておく。私の母方の祖母から、小学生の夏休みにあるクイズが出題された。それはこんな内容だった。
A君とB君がいると仮定する。A君もB君も毎日夏休みの間、1ヶ月間(30日とする)お小遣いが貰える。A君は毎日1000円の決まった額が貰える。B君は最初の日は1円しかもらえないが、2日目は倍の2円もらえ、3日目はまた倍の4円もらえ、1日ごとに貰える額が倍になっていく。
A君とB君は最終的には、貰える額にどれくらいの差がでるだろうか?という内容だった。
これはたしか夏休みの最初に出題され、夏休みの間考えて、夏休みが終わる頃に答え合わせをするゲームだった。
その当時、私は小学校5年生くらいだったと思う。最初感覚的に、A君のほうがよさそうだと思った。A君は初日から1000円もらえる。当時の小学校にとって1000円は大金だ。今の君とは貨幣価値が違うからね。1000円が毎日貰えるなら、30日で3万円貰えることは、その当時の私でもすぐ暗算でわかった。これはすごいと、3万円あれば、欲しいものがかなり買えるぞと。
その反面、B君は1日ごとに倍になっても、1円、2円、4円、8円、16円とたしかに増えるものの、途中まで数えて、増えるまでだいぶかかりそうだと思った。やっぱりA君のほうがいいのではと。ロクに計算もせず思ったものだ。
しかしもしA君の方が最終的に勝つとすれば、祖母がわざわざ私にこんなことを聞くだろうか?とも心のどこかで思った。しかし当時の私はあまり深く考えて生きるタイプではなく、いつのまにか目の前の夏休みを謳歌することで、クイズのことをすっかり忘れていた。夏休みの最後の方になって思い出したように計算して、祖母の家に行った。(しかし当時の私の計算は間違いだらけだったが。。。)
複利の話のくだりがあったので、聡明な君はとっくに気づいていると思うが、やはりこのケースではB君の方が有利なのだ。これはエクセルで計算すると一瞬で導ける。実際に計算してみるとわかるが、B君の貰える額は日に日に増えていき、16日目で32,768円となり、この日の1日に貰える金額でA君の1ヶ月分の総額を超えてしまう。しかしここからが本当にエグい差がつくところで、B君が最終日(30日目)の1日でもらう金額は、536,870,912円となり、B君の1ヶ月の総額はなんと10億円を超えてしまう。ここまで圧倒的な差がつくとは私もいま改めて計算して、驚いている。
このクイズは、複利の力を教えるために祖母が出題したものだった。医師である祖母は私に、クイズを通して複利の力を教えたかったのだろう。そのことに気付いたのは、私がだいぶ大人になってからだった。
まとめ
複利の力は非常に強力であり、時間が経つにつれてその効果は増大する。特に投資の世界では、複利を味方につけることで資産を大きく増やすことが可能だ。一方で、借金においては複利が敵となり、返済が困難になることもある。複利に関する知識を深め、賢い選択をすることが重要だ。